多目的トイレの憂鬱

三和シャッターの標準の「操作スイッチ、2点式押ボタンスイッチ」

恐ろしいほど重くて使いにくい。このスイッチは、よく行く病院や駐車場のトイレの入り口などいたるところで見る。見るたびにため息が出る。トイレに入るのに押せば開くのだが押す行為自体がかなりきつい商品である。

まずとてもボタンが重い。

非力な年寄では自力で押して操作が難しい。


指と腰に力のある人でないと開けられないだけでなく、介助者の自分ですら開けるのが大変な代物である。入院しているときなど、トイレの前で開けられずにナースコールする人まで見かけたくらいだ。


操作ボタンが重いため、指に力がない人はボタンを押しても反応しない。ためしに車椅子に座って押してみると全く反応しなかった。
しかも高くて腕を伸ばすだけでやっとの人がばんっと押せるほど腕力もない。病人や介護のいる人の多くはそうなのだ。

 

車椅子に座ってしまうとボタンの操作位置が高く手が届かない上に、肩の可動域が年を取ると狭まり、腕が上部へあげられない。そこで持っている杖を両手で持ち上げ、杖の先を使ってボタンを押す。すると、なんと車椅子が後ろへ下がるのにドアは開かない。ボタンがどれだけ固く、ドアを開けるのにどれだけ力が必要か。

 

車椅子のブレーキをかけて何度もトライしてようやくボタンをぐーっと力を込めて押すと、今度はトイレに入る前に小便を漏らしてしまう。そしてナースコールとなるのだ。

 

第2に悪いのはこのボタン式の周りにあるお椀のような枠が諸悪の根源だ。指が痛い時は押したくないので代わりに体のほかの部分を使って押そうとする。たとえば肘を使う。

 

ところがこのボタンの周りのお椀のような金属の枠が邪魔で、ボタンを押してもドアは開かない。肘鉄をボタンの中央に狙いを定めて「とおっ」と掛け声をかけて押す。それでも周りの枠に腕の肉が食い込んでやはりドアが開かない。ドアのセンサーまでボタンを押しきれてないらしくやはり開かない。こんなに重く使いにくいボタンが世の中にあるのだ。

 

はっきりいってまだ普通の引手の引き棒タイプの手動の方がよっぽどましで引き戸を開けやすい。これを考えたのは健康な健常者のそうとう力のある人が考えたのだろう。それも卓上で。そうとしか考えられない。手を怪我したこともないのだろう。

 

一度自分の両手に10キロの鉄アレイを腕に括り付け、指先をガムテープでぐるぐる巻きにして開けてこい、と言いたい。
そのくらい身体は自由にならなくなるのだ。
いずれ自分もそうなると思う。


タッチスイッチや無目付センサがオプションになっているがこれを標準仕様でないと取り付けてはいけない。


それにしてもメーカーが悪いのか政府の役人どもが阿呆なのか。


多目的トイレ、障がい者や幼児連れが使えるトイレの中で困るのがドアの次にカバンなど手荷物を置くスペースが無いこと。棚がないのだ。有名メーカーの提案書を見ても手荷物を置くスペースが全くない。荷物置き場の折りたたみの棚の商品もない。


一泊2日程度の小旅行に行ける位の手荷物を常にかかえて移動する介助者や乳幼児の保護者は普通にいる。トイレに入ったらそれらを置くとこが無いのがほとんどだ。


自分の場合は仕方ないので幼児のおむつ替えベッドがあれば広げてそこに置く。または便器に移乗したあとの車椅子の座面に仮置きする。それが無い場合は腰に巻き付けておく。


当人は自分のことで精いっぱいであるから、荷物のことなど気に留めている余裕などない。どこから替えのおむつが出てきて、おしりふきが出てきているのか、ビニールの袋が出てきているのか考えてもみない。パンパンになったカバンの中から落とさないよう慎重に素早く用意しているのだ。
そう、ドアの次に悩ましいのがカバン置場の棚が無いことだ。


多目的のトイレを作ることは推奨されてても使い勝手までは要求されないらしい。メーカーは売れればそれでいいわけで、肝心の欲しいものが無いとわかっているのだろうか。それとも利用者サイドで何とかしろという考えなのか。

 
どのみちトイレにはおむつがてんこ盛りになり、ゴミが大量に発生する。企業はこれらを片付ける面倒な仕事がひとつ増える。


オムツは粉砕機でトイレに流す装置をトイレ内に付けてもらいたい。スペースが足りないが、排水菅をもう一つ作ればいいと思う。

 

まだまだ障がい者とか幼児のいる人が普通に暮らせるとまでいえない状況だ。