減るオムツ助成金

介護と一口に言っても自宅介護以外に施設に入ってもらい介護をしてもらう、あるいは別居している親を見舞って介護するなど複数存在する。

自宅で介護しているといっても、家が離れであったり完全同居スタイルだったりでこれまたさまざま。介護しているといっても、父が母の介護を主にしていて同居家族はたまに見に行くだけ、であっても自宅介護と言うし、常に横に寝起きしていても昼間は職場へいく介護も介護と言うし、労力の差も時間の差もある。

介護保険を使わずに介護しているのも介護だし、介護保険をフル活用して家事くらいしかやらなくても介護になる。認知症の介護も身体介護もあって、かけている時間も様々でケースバイケースだ。

そのうちいくつかの人はおむつの世話になる。
その紙おむつの助成金制度が自治体によってあるのだが、助成金額が減っている。

13年前、この市の助成は月あたり 5000円の紙おむつ代が出ていた。
500円で5000円分の購入権を買う方法だった。補助額は4500円/月。

そして今年の4月、助成は月あたり4000円になった。

購入するのに自己負担金はない。そのまま4000円分受け取る。補助額は4000円だ。500円/月、減っている。

紙おむつが5000円で丁度よいかやや余りが出るかなくらいだった。
寝たきりで昼も夜もオムツ使用した時、そう思った。
それから数年、紙の値段が2割増しになった。ティッシュペーパーが200枚ひと箱が160枚ひと箱になったあの時期だ。生理用品も大人紙おむつも中身の個数が2割減った。
しかし行政のおむつ補助兼は金額はそのままだった。補助券を購入するのに1割負担し、端数は現金で支払うので、おおよそ2割程度の出費になる。この2割減のころから少し足りないな、と思うようになった。
そして今年の春、月4000円。
かつて丁度このくらいいるのだと思っていた金額からすると家計負担がどんどん増えてきている。ケアマネに「オムツが足りないって言われる家庭があるけど、お宅もそう?足りる?}
と尋ねられる。
「不足です(きっぱり)皆さん不足してると思う」

税収が足りなくなってきているのか、紙おむつの家庭が増えたのか。

今の状態だと、月1600円家庭が出さなければならないと思う。
半年ずつで受け取るためおそらく今年いっぱいで助成金分のおむつは無くなる。それからは自己負担のおむつになる。

自分たちが介護を必要になる歳になった時、このおむつ代はほぼ全額自己負担になるのではないか。数年前に紙製品が2割内容数を減らして販売されたように、20年ほど後までに、あと何回値上げされるだろう。そうなると月5000円、生活費に必要になり、老後2000万程度では済まないだろう。

言語聴覚士と歯科衛生士の口くうケア

一口に口くうケアと言っても二種類の職業による住み分けがある。

 

私自分はまったく知らなかった。

 

それ以上に担当ケアマネがこの違いを同一に考えていた言動があり、問題だと思い当人に伝えた。

 

どんな状況だったか。

親が誤嚥性肺炎で退院の際、担当看護師とST(言語聴覚士)より「これより3か月以内にまた誤嚥性肺炎で再入院される可能性があるので、口くうケアは欠かさず行ってください。食事はとろみ付けを行ってください」という内容を口頭で受け取った。

 

親当人は、自分が誤嚥をした原因は入れ歯の調子が悪く、食事のたびに歯が浮いて慌てたため誤嚥した。だから早く入れ歯を治して欲しい、と私に訴えた。その為、この二者の意見をケアマネの伝えた。

 

当時、何年もお世話になっている歯科医Aがあり、その歯科医には、当院に連れてくるのが難しいなら介護タクシーで来てください、という内容だった。そこでその介護タクシーの手配をケアマネに頼んだら、「今介護タクシーはいっぱい予約があって取れないので、知っている歯科医Bが訪問で治療してくれるからそれを頼みましょう」と言う。

ふと、A歯科医は診療の待合室に、訪問対応しますという内容のポスターを見たような記憶があったが、ケアマネの言う通り手配してもらった方がいいかと思い、そのまま頼んでもらうようにした。

 

訪問Bの歯科医は歯科衛生士と共に自宅へ来て説明を行う。
「治療は全部で4日の予定です。口くうケアについては介護保険でうちは現金でこの場で払ってもらうか歯科医院の方へ来て支払してください云々」4日で終わるならとそのまっま頼んだ。

 

予定した日、先に歯科衛生士が到着し口くうケアを始める。車椅子に座ったまま、作業を開始した。


ところが、親がうがいの際、むせた。

「大丈夫ですかー?」と声をかける歯科衛生士。私はこのやり取りを見ていて、危険を感じた。


誤嚥性肺炎で入院していた際、言語聴覚士(STさん)は嚥下訓練を兼ねたとろみ水や食事の際、細心の注意を払っていたように見えた。

 

ベッドの頭を起こす角度は60度。イラストを描いた角度を指定した指示の紙をベッド上部に貼り、スプーンの大きさを指定。一口の食事の量はティースプーン半分程度が最高。むせたら飲食は中止。飲食の時間は20分を超えたら食事が途中であっても中止。そう書かれている。誰が見てもわかる。

 

一口食べさせたら「はい、ごっくんして」
当人の喉仏が上下するのを見届けてよし。そして次の食事をスプーンにとって口に入れる。「はい、おかゆですよ、ごっくんして。ごっくん」


食後、気管支に食事の内容物が入り込んでないか吸引をして、何もなければ、「大丈夫です」

 

それから口くうケア。指に専用のウエットクロスを巻き付け、患者の口の中を指で拭くようにかき出す。口の中を目視して何もないことを確認していた。それから舌苔を専用液とブラシでこする。

 

それから運動である。「あ。い。う。べー」「はい、一緒に言ってね」頬の横をマッサージする。「今日はここまでです」

 

息が詰まる食事風景であった。そのくらい気を使う。一口が命取りなのだ。しかし帰宅したらSTの仕事は私自身の仕事になる。STさんの様子を見てひたすら覚える。

 

急性期の入院中はそんな毎日であった。

なぜ誤嚥したのか気が付いたのは数か月後だが、危険だと思ったのは吐き出そうとしていつもむせたからだ。そしてこの歯科衛生士の「大丈夫ですか」いや大丈夫ではない。ムセが大きい。


しばらく様子をみていて二回目の訪問で尋ねてみた。
「気管支に入った水分を吸引とかしないんですか。携帯の器具とかないんですか?」「そういうことは、しません」
思っていたのと違う!


親の口の中の舌は、一番奥の下の部分の動きが衰えている。「ぱ」「た」「か」の「か」の発音がおかしい。息がもれる音がする。舌の一番奥の筋肉が衰えて「か」がきれいに発音していない。

 

つまり、うがいの水を口から出す際に、喉の奥で上あごにくっついて水を止めていなければならない舌と、上あごの隙間から、少量の水が気管支の方へ逆流して、誤嚥が発生していたのだ。大部分の水は口から吐水して吐き出されるが僅かな隙間が出来ていて気管支の方へ流れて行ってしまう。(これに気が付いたのはこれより数か月後だ)

 

喉の奥のポケットと呼ばれる大さじ一杯分くらいの隙間に残った水分が気管支の方へ流れることもある。そのため空ごっくんとやらを二、三回やらせる、ということもしていた。

 

言語聴覚士のタンや残飯などの吸引行為を、歯科衛生士もやるのだと勝手に思っていた。「口くうケア」と言っているが二者の職業の仕事の違いをはっきり理解していなかった。

これは、急性期から退院した直後の対応として適当だったのだろうか。自分自身、これはおかしいと考えている。


対応を誤れば「うがい」で誤嚥性肺炎をやらかしかねないのだ。
歯科衛生士の口くうケアに「吸引」は仕事に入っていない。

 

ケアマネには、介護タクシーを頼んだのに、ほかの歯科医の紹介をした理由は何か?


このずっと後になるが、最初かかっていた歯科医に聞くと訪問も受け付けていた。しかしタクシーが手配出来ないこと、当人の体力が落ちて連れて得行くのが困難であることなどを告げるとなんと来てくれたのだ。

 

A歯科医がありがたいのは、年寄は体力的に大変だろうといって、来院回数を抑え多くて2回も通えば治療を終わらせてくれる。それからどうしても悪くなればまた半年か一年ほど経ってから、また行くが、やっぱり多くて二回で終わらせてくれる。聞けば当人も付き添いの人も大変だろうからと。まあ実際大変なのだ。

 

訪問治療の際も2回ほどだったか。すぐ終わり。とにかく次々に病院へ行かなければならない病気もちになると一つでも治療が終わり、ホッとするタイミングが欲しい。そういう気分になる。

ところがところが。

ケアマネが紹介してくれた歯科医は腕が悪いわけではないが、なんというかずっと治療が続くのだ。歯科衛生士もずっと続く。
どうもおかしいのでそれをケアマネに尋ねてみた。


4回の説明がもう9回に達している。当人は目の手術をやりたいのに、いつまでも歯の調整が終わらない。イライラして当たるようになる。歯の治療も入れ歯の調整である。いい加減終わらないのか。となった。

結局、こちらの言い分でとにかく終わらせてもらったのだが、歯の治療はいつまで続くと内科に泌尿器、整形外科に外科、皮膚科、眼科と歯科医とどれだけくっつくのだ。なんでもいいからひとつでも終わって欲しい。そういう気分になっていた。

話がそれたが、「口くうケア」のSTと歯科衛生士の違い。
計画して勧めてくれたケアマネは知っているのか?


歯科衛生士の主な仕事は歯茎や歯の掃除などでこれは「口くうケア」といっても誤嚥性肺炎に対してはあくまでも「予防法」で有効と考えられる措置になる。口の中を綺麗にすることは誤嚥の予防になると考えられる。つばを誤嚥する人もいるから、ということらしい。


言語聴覚士の主な仕事は上半身全般のリハビリなどで「口くうケア」といっても誤嚥性肺炎に対しては、なってからの「対処法」で有効と考えられる措置になる。だからリハビリをやって飲み込む力をつけ、食べられる呑み込められるようにするのだ。

 

仕事の内容が違うのだ。

私自身、この差があるのに知ったのは、歯科衛生士と言語聴覚士両方の利用をしてみて、ようやくはっきりと分かったのだ。

 

その後、骨折してまた入院し、同じく世話になったSTにまた顔を合わせるのだが、その少し前に耳鼻咽喉科誤嚥の診断をしてもらいに受診していた為、「ちゃんと来院されたんですね」などと声をかけてもらった。

それから、転院先のリハビリ病院でみっちりリハビリしたのだがそこでもSTさんのリハビリを受けた。
北原白秋のあめんぼ・・などをしゃべる訓練、そして額に手を押し当ててそれに対して抵抗して頭を支える訓練、首筋のマッサージ、長く声を出す訓練。どろどろのミキサーとろみ訓練食からとろみをかけた刻み食になり、一口大のやわらかおかずになり、ほぼ普通食まで引っ張り上げてくれた。STのリハビリはすげー!!
当人の頑張りもすごかったが。これでミキサー食作りとミキサーを洗う家事手間が大幅に減る。とろみ材の費用も減る!
良かった、助かった。

 

見ていると正直かなり恐ろしいリハビリ。いつ誤嚥してむせて、とならないかとひやひやしてしまう。安心していられるのは誤って気管支に入っても吸引してくれていたからだ。

 

歯科衛生士は歯や歯茎の隅々まで綺麗にしてくれる。
STはそれはしない。ざっと拭くだけ。

同じ口くうケアの名称だったので同じ内容と勝手に思っていた。仕事の範囲も目的もまったく違うのだ。

 

ケアマネはなぜ歯科衛生士の口腔ケアを勧めたのだろうか。

 

親の誤嚥性肺炎の急性期病棟の退院後のリハビリに欲しかったのは言語聴覚士だった。どこから歯科衛生士になったのか。入れ歯の話があったので一緒にされたのだろうか。

 

まさか、知らなかったんじゃないよな。
歯科衛生士に支払った分は親の状態から考えるに不要だったのではないかと思う。

 

 

粗相の話

早朝夜明け前、無線の呼び出し音が鳴り響き、すぐ部屋へ行くと、やってしまったと言う。

オムツのパッドが外れて布団のシーツから掛布団、もちろん着ているパジャマから下着までおしっこでべしょべしょだった。

今にも泣き出しそうな顔をして自分の顔を見つめている。

またか、と一瞬思ったが、「おしっこごときでいちいち呼び鈴を押すな!」私自身、体調が悪かった上に連日の夜中の呼び出しに加えて寝不足もあり、怒鳴ってしまった。朝一番にたまにある追加の仕事である。

要介護者の体調が悪くなると同時に悪くなるのが介護者の体調である。なにせ介護者は要介護者が寝てからしか睡眠を取れないし、自分の体調が悪くても優先するのは要介護者の体調になり後回しになるしかないから。介護者が先に倒れて死亡した家庭を聞き知っているが、自分もそうならない為に私自身必死である。

さて、おしっこの衣類やらシーツは取り外すのは自分でやるが洗濯は洗濯機がやってくれるので、洗濯機に押し込んでから当人の体拭きをして着替えさせて車椅子に座らせた後、ベッドのマットレスの消毒をする。マットレスを雑巾で拭いてから希釈した塩化ベンザルコニウムを染み込ませた雑巾でマットレスを拭く。それから新しいシーツをかぶせる。この作業をしている間に親の具合が悪くなるので車椅子からベッドに移して寝かせてやる。私の方が横になりたいがまだ仕事がある。おしっこでべしょべしょになった布団の洗濯、だ。

新しく買った洗濯機で早々におねしょ一式を洗濯するとはちょっと悲しい。が仕方ない。

洗濯機の柔軟剤入れに先ほどのベンザルコニウムを入れて洗濯ボタンを押す。とりあえず洗濯洗剤は普通のを使う。前はおしっこの臭いの取れる専用の洗剤を使っていたがやめて、漂白剤と逆性石鹸を使って普通の洗剤で洗っている。

そういえばアタックネオ抗菌EXWパワーを使っていた時はおしっこの臭いだろうが加齢臭だろうが生渇きの臭いだろうがきれいさっぱりにおわなかったが後続のアタックゼロにしてから臭いはついたままだ。
臭いは取れないという意味のゼロなのかもしれない。
なにはともあれ、おしっこでは後が悪いので漂白剤か逆性石鹸は欠かせなくなってきた。

訪問ドクターが導尿の際、手洗いをしっかり行っていたとこを見てるので、やはりあのくらいきっちり洗い上げないと菌が落ちないのかもしれない。

我が家に来る来客で「そのうちお風呂でウンチもらして、もうかなわんってなるぞ」と言った人がいた。
私は「もう十年以上前からちょこちょこやっているよ」と言った。

そういうことを言われる訳が分からなかった。

お風呂なんて後始末のとても良い場所だ。もうかなわんの意味が分からない。この人は自分で親の介護をしていたと言っていたが。

想像するに、亡くなった母親とやらの世話をお嫁さんがしていて、お風呂でウンチになり、もう嫌だ、面倒みれない、と言ったのは当人の奥さんではないか。そう想像した。

お風呂の始末が楽なのはすぐシャワーがあり洗い流せる上に当人は裸でこれまた石鹸つけてシャワーして流せばよい。排水溝はあり下水道に行くだけ。塊のウンチはすくってビニールに入れてトイレにでも追って行って流せばいいし、汚れたペーパーはゴミで捨てればいいし。あとはカビキラーなどの漂白剤を振り掛けてシャワーで流せば殺菌もできて掃除はおしまい。とにかくそれだけで片ずく。

畳の上にやらかした時なんか、本人は動けないしボトボトうんちは落下してくるし、本人の服を脱がせて体を拭いて着替えさせて車椅子に座らせてベッドに移動してから移乗させて寝かせて、それからまだ畳の洗浄と掃除にどれだけ時間と労力がかかったか。臭いを消すまで大変だった。次に大変だったのが床で本人が知らずに足に付けて台所の床を歩き回った時。これまた一式着替えと体拭きと拭き掃除と後始末で以下略。
マットレスが小さいとまだゴミ袋に入るから捨てるのは楽だが、でかいカーペットの上に垂らしてくれた場合は。以下略。
椅子とかだと細かいところに垂れた便を拭くのがこれまた大変で、その近くに細いものや複数の物があったりするとこれまた余分に仕事が増える。


そういう今までのことを思い出すと「お風呂場でうんちー」などめちゃくちゃ後始末の楽なとこでやってくれただけだ。それで値を上げたという話であるから、介護者の人はやりたく無かったのだろう。
それも当たり前で、義理の親より大変そうな伴侶の世話がまだ残っているんだから。それも自分の体力が落ちたころにやることになるとなると。

来客の当人は介護をしていたと豪語していたが、やっていたとは到底思えない。やっていた人を見ていただけ。そうでなければお風呂でうんちの話は、出るはずがない。そう思った。

多目的トイレの憂鬱

三和シャッターの標準の「操作スイッチ、2点式押ボタンスイッチ」

恐ろしいほど重くて使いにくい。このスイッチは、よく行く病院や駐車場のトイレの入り口などいたるところで見る。見るたびにため息が出る。トイレに入るのに押せば開くのだが押す行為自体がかなりきつい商品である。

まずとてもボタンが重い。

非力な年寄では自力で押して操作が難しい。


指と腰に力のある人でないと開けられないだけでなく、介助者の自分ですら開けるのが大変な代物である。入院しているときなど、トイレの前で開けられずにナースコールする人まで見かけたくらいだ。


操作ボタンが重いため、指に力がない人はボタンを押しても反応しない。ためしに車椅子に座って押してみると全く反応しなかった。
しかも高くて腕を伸ばすだけでやっとの人がばんっと押せるほど腕力もない。病人や介護のいる人の多くはそうなのだ。

 

車椅子に座ってしまうとボタンの操作位置が高く手が届かない上に、肩の可動域が年を取ると狭まり、腕が上部へあげられない。そこで持っている杖を両手で持ち上げ、杖の先を使ってボタンを押す。すると、なんと車椅子が後ろへ下がるのにドアは開かない。ボタンがどれだけ固く、ドアを開けるのにどれだけ力が必要か。

 

車椅子のブレーキをかけて何度もトライしてようやくボタンをぐーっと力を込めて押すと、今度はトイレに入る前に小便を漏らしてしまう。そしてナースコールとなるのだ。

 

第2に悪いのはこのボタン式の周りにあるお椀のような枠が諸悪の根源だ。指が痛い時は押したくないので代わりに体のほかの部分を使って押そうとする。たとえば肘を使う。

 

ところがこのボタンの周りのお椀のような金属の枠が邪魔で、ボタンを押してもドアは開かない。肘鉄をボタンの中央に狙いを定めて「とおっ」と掛け声をかけて押す。それでも周りの枠に腕の肉が食い込んでやはりドアが開かない。ドアのセンサーまでボタンを押しきれてないらしくやはり開かない。こんなに重く使いにくいボタンが世の中にあるのだ。

 

はっきりいってまだ普通の引手の引き棒タイプの手動の方がよっぽどましで引き戸を開けやすい。これを考えたのは健康な健常者のそうとう力のある人が考えたのだろう。それも卓上で。そうとしか考えられない。手を怪我したこともないのだろう。

 

一度自分の両手に10キロの鉄アレイを腕に括り付け、指先をガムテープでぐるぐる巻きにして開けてこい、と言いたい。
そのくらい身体は自由にならなくなるのだ。
いずれ自分もそうなると思う。


タッチスイッチや無目付センサがオプションになっているがこれを標準仕様でないと取り付けてはいけない。


それにしてもメーカーが悪いのか政府の役人どもが阿呆なのか。


多目的トイレ、障がい者や幼児連れが使えるトイレの中で困るのがドアの次にカバンなど手荷物を置くスペースが無いこと。棚がないのだ。有名メーカーの提案書を見ても手荷物を置くスペースが全くない。荷物置き場の折りたたみの棚の商品もない。


一泊2日程度の小旅行に行ける位の手荷物を常にかかえて移動する介助者や乳幼児の保護者は普通にいる。トイレに入ったらそれらを置くとこが無いのがほとんどだ。


自分の場合は仕方ないので幼児のおむつ替えベッドがあれば広げてそこに置く。または便器に移乗したあとの車椅子の座面に仮置きする。それが無い場合は腰に巻き付けておく。


当人は自分のことで精いっぱいであるから、荷物のことなど気に留めている余裕などない。どこから替えのおむつが出てきて、おしりふきが出てきているのか、ビニールの袋が出てきているのか考えてもみない。パンパンになったカバンの中から落とさないよう慎重に素早く用意しているのだ。
そう、ドアの次に悩ましいのがカバン置場の棚が無いことだ。


多目的のトイレを作ることは推奨されてても使い勝手までは要求されないらしい。メーカーは売れればそれでいいわけで、肝心の欲しいものが無いとわかっているのだろうか。それとも利用者サイドで何とかしろという考えなのか。

 
どのみちトイレにはおむつがてんこ盛りになり、ゴミが大量に発生する。企業はこれらを片付ける面倒な仕事がひとつ増える。


オムツは粉砕機でトイレに流す装置をトイレ内に付けてもらいたい。スペースが足りないが、排水菅をもう一つ作ればいいと思う。

 

まだまだ障がい者とか幼児のいる人が普通に暮らせるとまでいえない状況だ。

 

 

はじめての導尿

親の様子が二三日おかしかった。

どうおかしかったと言うと難しいが、気が付いたのは一つは絡んでくる。一つは動きが悪い。一つは食事中もテレビを見ようとして食事内容は上の空といった具合。

ひょっとして具合が悪いのかと直接聞くと「最近、体がだるい」
どのくらい前からと聞くと「日曜日から」

つまりえ5、6日前から具合が悪かったのだ。
年寄は自分から具合が悪いと言わないので、普段の観察と直接訊ねるしかわからない。

とりあえず体温と血圧を測る。平熱、血圧もOK

わが親の場合、病歴をたどって消去法で解決策を探る。

この人は一年前に白内障手術、腎盂腎炎、その二年前に細菌性肺炎と低アルブミン血症と低ナトリウム血症と誤嚥性肺炎と心不全の疑いと大腿部頸部骨折を半年間に順番にやっており、4年前には胃癌摘出手術を受け、5年前には脊柱管狭窄症の手術を受け、13年前に頸髄損傷の後、後縦靭帯骨化症の後方からの椎弓形成手術を受け、同時に前立腺肥大と高血圧を発症し、15年前は胃の上皮の手術を受けと高齢者になってから体を切りまくっている。
また神経を傷つけたため気象病のような症状がでるので台風や寒冷前線の通過、接近は体調が一気に悪くなる。

疑わしいのは。

とりあえず塩分と水分を取らせる。寝かせて様子見したが、塩分ではないらしい。
その次。糖分を取ってみる。胃切除の為ダンピングで血糖値が下がりすぎてないか。ポカリスエットを50ccほど飲ませる。違うようだ。
さて、天気はいいし、気象病でもないとすると。

寝ているうちに自分の唾液を肺に吸い込んでしまった肺炎の始まりか?と思ったが朝の体温は36度4分。朝普通だとこれも違う。

となると膀胱の細菌が悪さしてるかも。

導尿を試みる。といっても初心者なのでナースに聞いたことを実践する。説明を受けただけの見よう見まねである。
使い捨ての手袋をして、ベッドにビニールシートを敷いて本人を寝かせ、陰部を専用の消毒液のついたコットンでふく。同時に手袋も拭く。病院で受け取ったカテーテルの袋を破いて麻酔と消毒のゼリーをカテーテルと陰部に塗る。そしていざ!

「入れるよー息を吐いてーすってーはいてー」
膀胱カテーテルをゆっくり差し込む。途中でカテーテルの先が止まる。膀胱の入口に来たらしい。

「はい、しーしーしー 息吸ってーはいてー」
そーっと入れていく「いててて!痛い!」

驚いてストップ。
「大丈夫?」「うん」「じゃあいくよー」

本人も涙ものだろう。

本当にゆっくりゆっくり。カタツムリが進むくらいのスピードで入れていった。カテーテルの長さの残りが12,3センチになった。おしっこが出てきた。成功だ!

「出たよー」「おおー」

よかったよかった。おしっこは用意しておいた100円均の計量カップに入れる。透明でどれだけ出たかわかる。
トイレ直後1時間200ccほど出た。最初は綺麗だったが途中終わりごろからドロドロ。白色の尿だ。

確かにこれはあやしい。熱が出ないだけ良かったくらいの色だ。
腎盂腎炎の時は急激に熱がでて、一時間に体温が一度上がり39度くらいまで一気に上がった。あの時見たのはこれ程ではなかったが、汚れている方だと思った。

片付けて本人を寝かせる。

抗生物質を使えばいいのかもしれないが熱が出てないし、耐性菌が増えると嫌なので出来れば飲ませたくない。それは当人も承知している。

寝かせると10分しないうちにいびきをかいて寝てしまった。

翌朝。熱もなく、親が自分でベッドから起きてきた。
少しは調子が良くなったらしい。とりあえずほっとした。

訪問ナースに伝えるとそのままかかりつけDrに連絡が行った。
最近、かかりつけDrも訪問ナースとクラウドで情報共有してくれるようになったよと、ナースから聞いた。先生やるー♪

どうしてケアマネの事務所は未だに紙と電話でやっているんだろうということは横に置いておいて。

導尿のおしっこの色はタブレットで毎回写真にして記録してある。
見比べるとかなり色が違う。

今回の体調不良の原因は不明だけど、この後に来ると予想される高熱は回避できたと思う。ナースに聞くと最近利用者さん、ヘルペスが流行って調子の悪い人が増えているらしい。自律神経が悪くなっているか、夏バテか。どちらにしても要注意な季節になった。

換気扇の大掃除に使う道具

ちょっと早いが換気扇の年末大掃除を行った。

新しく発見したのが、介護で使う口くうケアブラシのお古を使うのが最も綺麗に掃除できることが分かった。

換気扇のシロッコファンの羽の間にブラシがぴったり入るからだ。この口くうケアブラシは歯ブラシの先にミニサイズの亀の子タワシがくっつけたような形状で、360度ブラシの毛が生えている。

その為、どの方角にもブラシの先が当たり、シロッコファンの羽の一枚一枚の隙間にぴったり入って油をかき出せる。

しかも歯ブラシよりも固く、こする力が強い。ナースが話していたが、歯ブラシは柔らかいがこれはこすり落とす力が強いから舌苔をケアして落とすにはこれが一番だと。今回大いに納得した。

やりかたは今までと同じで、分解して台所洗剤と重曹につけておいたファンをこするだけ。
いままでかき出せず残っていた隅っこの部分もブラシの先が入る。
これはテルテル坊主を作った割りばしや、使い古しの歯ブラシなどより綺麗に汚れをかき出してくれた。

大変重宝したブラシだけど、介護をしていない人には勧められない。

介護している人がこのお古のケアブラシを掃除に使うならともかく、そうでない人には高すぎるブラシだと思う。一本500円ほどするからだ。

時々、体調不良になる日がある

介護をしている一日の流れを書き出してみる。

AM5:30 起床、親のおむつのパッドを取り換える
AM6:00 自分の分だけ先に軽食を取る
その後親の朝ごはんの支度をするため台所に立つ。
8割がた用意し終わったら、親の顔拭きのタオルをレンジでチンして
顔を拭く。あたたかい塩水を150cc作って飲ませる。
体温、血圧、心拍数をチェックし記録を書く。
車椅子に移乗して服を着替えさせる。
この日は小水でシーツ、下着上下、肌布団が濡れていたのでオムツの
取り替えをしてから軽く体を拭いて着せ替えをした。
その後、おしっこで濡れた衣類一式を洗濯機に入れ洗濯をする。
AM7:30 車椅子をテーブルに連れて行き食事エプロンを首にかける。
食事の様子をみていて腕が震え指に力が入らないようなので食事介助をする
AM8:20 食事が終わり口くうケアをする。
ケア後、食事前に行うはずだった口の運動を行う
(本人が一人ではやらない為一緒にやる必要がある)
AM8:30~9:00 食事の片付けと薬を飲ませる
自分の洗顔、整髪、着替えなど自分の身支度をする
AM9:00 ベッドに移動させる(体温が高かった為休ませる。
本当は食後、すぐ寝させてはいけないので、頭部を高くして寝させる。
AM9:00 ナースから連絡の電話が来て、急患のため遅れる
内職を開始する
AM10:30 ナース到着、バイタルチェックと導尿して帰っていく。
AM11:30 昼食の準備を開始、おかゆを食べさせる。口くうケアは省略版で
ぶくぶくうがいと入れ歯洗浄をする。
食事が終わったのでベッドへ移動する。車椅子からベッドへの移乗をして寝かせる。体温38度6分、ドクターに連絡する
PM2:00 1時30分から1時間ほど薬局が開くまで内職
PM3:30 薬を貰いに薬局へ行く。4時ごろ帰宅し、すぐ薬を飲ませる。
PM4:30 内職1時間
PM5:30 夕飯の支度、検温、血圧、心拍数を測って記録する。37度8分
自分だけ軽食をする。洗濯物を片付ける。シャワーをすませる。
PM8:00 親が目をさます。水分を取らせ検温37度4分。おかゆを食べれるか
聞くと食べるというので夕飯を食べさせる。誤嚥なし。口くうケアをして
ベッドへ移乗、おむつをして寝かせる。頭を高くしたまま食後
2時間後に水平にベッドの高さを調整する。
PM9:00 体調が気になるので早く寝る
AM12:00 検温37度3
AM4:00 検温37度0
AM5:30 起床、オムツ交換と同時に検温37度0

今回はトラブルが深刻でなかったので助かった。
感染症の発熱のようだった。
感染症の感染の代表は肺炎か腎臓かどちらか。親の場合は両方やっている。

今回は尿路感染とかいうやつだと思われる。
導尿のおしっこがすごい汚れていたからだ。Drに話したら抗生物質の飲み薬を処方して下さった。

睡眠時無呼吸症候群の回数に達しない為、診断はされなかったが夜間しょっちゅう息が止まり、深呼吸をする。口を開けて寝るので唾を肺に吸い込んでしまい細菌性肺炎をやらかしている。
DRは「土からとかエアコンとか、人から移ったとかあるので原因は不明だよ」と説明を受けている。

その後、さまざまな情報をたどり、私は親は自分の唾を吸い込んでいるのだと思っている。
二年前はそういうことに無頓着だったため、細菌性肺炎で入院した。その後はかなり真剣に口くうに注意を払うようになった。今のところ細菌性肺炎にはなっていない。いや、なっているかもしれないが、重症での入院にはなっていない。
軽いうちに薬で菌を殺しているか、親の体力のおかげで回復しているか、どちらかだろう。

尿路感染は膀胱から腎臓へ逆流でおこるようで、一気に短時間で高温の熱が出る。一時間に1度体温が上がり、あっという間に39度になる。当人はガタガタ震え、筋肉に力を入れてくいしばってしまう。見ているだけでも異常な状態と分かる。機嫌が急激に悪くなり、口を利かなくなる。

CTの検査の時、DRがあれ、どうしてこんなに広がっているんだろう、と話してみえたが、膀胱から腎臓への管が開いているそうだ。
ひょっとすると、脊髄損傷をしたときになったのかもしれない、と私は思ったが確認はできていない。

とりあえず、今回は大したことなかったが、今年に入ってからこういう感染症によると思える高温の熱がたびたび出るので、内職をやっていても仕事が予定通りにいかなくなる。

治ると自分で車椅子を操作して動き出すが良く床に物を落として拾ってくれとか取ってくれとか言い出す。床の物は拾ってやるが、手のとどくところの物や、今やらねば危険なものまで助けている暇はない。
あたりまえだが、かまってやっている暇はない。こちらは忙しい。
内職の期限があるのだ。